今年のコメ価格の上昇と品薄が続く理由を探る

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今年のコメ価格上昇と品薄が続く日本


本日のYahoo!ニュースの記事から、以下の記事が目を引いた。
コメの価格が5カ月ぶりに下落 前月より2%安も前年よりは1割高
2023年産のコメ価格は2024年3月から値上がりが続いたと同時に、
コメ流通量低下(品薄)が続いているのだ。

上記の記事以外にもコメ価格の上昇に関わる記事は他にも、
以下のようにいくつも上がっている。

コメ価格の推移を調べてみる

コメ価格と流通量を調べようとしたキッカケ

個人的にはこれまで、コメ価格の統計データを見ることはなかった。
なぜなら私の家庭におけるコメ消費量が多くなかったことが要因だ。
しかしながら今回は普段利用するスーパーの商品棚からコメが姿を消したことで、
コメ不足が身近な脅威となって現れたことが行動を起こす理由となった。
そこで今回は今年のコメ価格とコメ数量の推移の両方を調べることにした。

コメ価格と数量をどうやって調べる?

前置きが長くなったがコメ価格とコメ数量はどうやって調べるか?
今どきならChatGPT4oにでも聞く方が効率が良いかもしれないが、
他の情報も同時に何度も検索しやすいためググってみることにした。
期待通りのデータが存在する、以下の農水省の該当ページへ飛んでみた。

農林水産省 | 米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等

上記ページ>最新の公表資料>相対取引価格・数量 令和5年産米の相対取引価格・数量(令和6年7月)(速報)でPDF、EXCEL、CSVの形式のどれでも参照することが出来る。
執筆時点(令和6年8月17日)でアップロードされた全てのEXCELデータで確認することにしたが、
なぜなら別表やグラフを作成できるためだ。

コメ価格とコメ数量の推移を算出する

コメ価格とコメ数量の月間の推移データを入手する

先ほどの農林水産省のコメ価格数量速報を広報するHP上から取得したEXCELデータは、
令和4年9月から令和6年7月までの全国の銘柄のコメ価格と数量を記録した速報データを格納している。
そこから全国平均のコメ価格と数量(ともに年産平均)を抜き出してみることにした。

コメ価格とコメ数量の推移を算出する前に先駆けて、
月度単位の以下のデータをまとめた表を図1に示す。

  • 銘柄平均のコメ価格
  • 銘柄平均のコメ数量
  • 年産平均のコメ価格(前年産)
  • 年産平均のコメ価格(前々年産)
  • 年産平均のコメ価格前年比(前年産/前々年産)
  • 銘柄平均の前月コメ価格
  • 銘柄平均のコメ価格前月比
  • 銘柄平均の前年同月コメ価格
  • 銘柄平均のコメ価格前年比
  • 銘柄平均の前月コメ数量
  • 銘柄平均のコメ数量前月比
  • 銘柄平均の前年同月コメ数量
  • 銘柄平均のコメ数量前年比
図1. コメ価格・数量の推移表(令和4年9月から令和6年7月)

上記図1を注意深く見ていると、
令和4年9月と令和5年9月のコメ価格およびコメ数量の前月比に入力漏れがあった。
これは元の農水省が広報している速報データ上で欠損しているものだが、
のちほどコメ価格の推移グラフを作成する際に、妙な事実に気が付くこととなる。

コメ価格とコメ数量の月間推移グラフを作成する

先の図1の表から令和4年9月から令和6年7月までの期間について、
年産平均のコメ価格からコメ価格の推移グラフ(図2)を、
銘柄平均のコメ数量からコメ数量の推移グラフ(図3)をそれそれ作成してので以下に示す。

図2. コメ価格の推移グラフ(令和4年9月から令和6年7月まで)
図3. コメ数量の推移グラフ(令和4年9月から令和6年7月)

作成した表とグラフからコメ価格とコメ数量の推移を考察する

第一に、図2から玄米60kgあたりのコメ価格が令和5年9月に前月比で10%もの上昇が分かった。
さきほど図1について、
「令和4年9月と令和5年9月のコメ価格およびコメ数量の前月比に入力漏れがあった。」
と書いたのは、前月比10%以上の価格上昇を記載することにためらったのか?と勘ぐったからだ。
正直、これほどコメ価格が値上げされていたとは全く把握していなかったが、
ググって振り返ってみると、以下の日経新聞記事がヒットした。

23年産米の相対取引価格、前年比10%高 農林水産省9月集計

ニュースをつぶさに見ているつもりでも、自分事として観ていなければ記憶に残らないものだ。
今回のように疑問を持ちながら行動することの大切さを逆に教えられてしまった。

第二に、図3から一年の収穫のピークを迎える2月でのコメ数量について、
令和5年と令和6の間で24%も前年比で減少していることが分かった。
また図3では10月から翌年2月までの収穫期間のボリュームについても、
グラフの見た目から明らかに令和4年10月から令和5年2月までの期間の方が、
令和5年10月から令和6年2月までの期間よりも数量はかなり多く見える。
そこで図1のコメ価格・数量の遷移表からそれぞれのコメ数量総数を算出してみた。

  • 令和4年10月から令和5年2月まで = 1,233,127
  • 令和5年10月から令和6年2月まで = 979,924
  • 上記の差分 = 1,233,127 – 979,924 = 253,203 (20%減)

上記から令和4年10月から令和5年2月までの期間で獲れたコメ数量から、
令和5年10月から令和6年2月までの期間で獲れたコメ数量は20%も減少している。

つまり、コメ価格は令和4年8月以前よりも10%も高騰していることに加え、
さらにコメ数量は令和5年2月以前から約20%も減少していると言えそうだ。

コメ価格の上昇・品薄になった理由を調べてみる

コメ価格の上昇とコメ数量の減少がここまで進んでいる理由を調べようと、
改めて検索ワード「コメ不足 背景」でググった検索結果の上位かつ全文表示の記事は以下だった。

また、日本農業新聞からも次のような記事が2024年2月6日付で報じられていた。

日本農業新聞 | 23年産米 需給に逼迫感 取引価格1割高に

上記の情報ソースを参照してみて共通の主張は次のような内容だった。

  • 2023年の夏の猛暑の影響で米の出回り量が下振れした。
  • コメが白く濁り割れやすいなど品質にも影響が出た。
  • 白濁したコメが原因で一部の銘柄は数量が減ってしまった。
  • 販売は前年を上回るペースかつ民間在庫量は過去5年で最少の水準で推移。
  • さらにインバウンド回復などによる外食需要の急拡大で需給が逼迫。
  • 令和5年産米の全銘柄平均で約11年ぶりの高値水準となった。

農水省が広報している速報データにも販売数量と価格の推移を示すデータも提供されているが、
しかし地域別や比率表示が記録されているだけなのでグラフ化しても分かりづらいため、
今回はコメの収穫時点をフォーカスして調査したので小回りは利かないが、
しかし前年比で20%もコメ数量が減少しているところにインバウンド回復で外食需要が逼迫すれば、
民間在庫が圧迫されて小売り側の販売量が低下することは十分に考えられる。

コメ価格の高騰と品薄になった原因についての結論

以上のデータ整理やグラフ化から分かったことは、繰り返すがシンプルに次の2つだ。

  • コメ価格が令和5年9月に前月比で10%も上昇
  • コメ数量は令和5年10月から令和6年2月までの期間で前年同期比20%も減少

そして上記の原因は以下であることが分かった。

  • 猛暑がコメの白濁化・劣化を引き起こし、一部の銘柄で数量が減少
  • コロナ禍後のインバウンド回復による外食需要の逼迫

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